数字を避けて商売を成功させることはできるのだろうか？

　多くの経営者や起業家が、「数字が苦手」「直感でなんとかしたい」と感じていることがあります。情熱や創造力を持ってビジネスを始める人たちは多いのですが、具体的な売上や利益などの数字を追うことがどうしても苦手だと感じてしまうのかもしれません。数字というと少し冷たいイメージがあり、自由でクリエイティブな仕事をしている人ほど抵抗を感じやすいものです。

　でも、実は数字を避けてしまうと、せっかくのビジネスがうまくいかなくなる可能性が高まります。数字はビジネスの健康状態を教えてくれる大切な指標です。数字ときちんと向き合うことが、ビジネスの成功にとってどれほど大切かを、具体的な例を交えてお伝えします。

数字を避けてしまうことで生まれるリスク

　商売を始めたばかりの人や、クリエイティブな仕事をしている人は、数字を面倒だと感じて避けがちです。例えば、小さなカフェを開いた店主が、売上や利益を細かくチェックせずに「お客さんが楽しそうだから大丈夫」と安心してしまうことがあります。でも、このやり方は危険です。実際に、商品一つあたりの利益や材料費をきちんと見ていないと、知らない間に利益がどんどん減っているかもしれません。気づいた時には資金が不足してしまい、「どうしてこんなことに？」と困惑してしまうケースもよくあります。数字を気にしないでいると、本当の問題に気づけなくなり、大きなトラブルになってしまうのです。

　また、感覚だけでビジネスをしていると、市場の変化にも気づきにくくなります。例えば、お客さんが毎日来ているように見えても、新しいお客さんは減り続けていて、リピーターだけが来店していることもあります。数字をチェックしていれば、こうした変化に早く気づき、適切な対策を取ることができます。数字を無視してしまうと、知らぬ間にお客さんが離れてしまい、手遅れになることもあり得るのです。

数字がビジネスに客観性を与える

　数字を扱う大きなメリットは、客観的な視点が持てるという点です。自分の感覚や思い込みだけで判断すると、偏った決定になりがちです。一方、数字は現実を正直に教えてくれます。例えば、ある雑貨店の店主は「新商品は大人気だ」と感じていましたが、販売データを調べてみたところ、実は利益率が非常に低かったということが分かりました。感覚では「売れている」と思っても、数字を見ることで本当の課題が見えてきます。

　また、数字は投資や改善の判断をするときにも役立ちます。例えば、ネットショップの運営者が広告を出している場合、その広告の効果を数字で計測しないと、ただお金を使ってしまうだけになるかもしれません。数字を使って効果をきちんと測れば、効果のない広告を止め、無駄なコストを削減できるようになります。数字を見ることで、ビジネスの判断を正確にし、より良い方向へ進むことができるのです。

数字を苦手な人でも扱えるようになるためのコツ

　数字が苦手だと思っている人でも、少しのコツと気持ちの切り替えで、数字に親しめるようになります。まず大切なのは、「数字は敵ではなく、ビジネスを助けてくれる味方だ」と考えることです。数字は怖いものではなく、ビジネスをより安定させて、成長させてくれる頼れるパートナーです。難しい会計の知識を一度に覚える必要はありません。まずは毎月の売上や利益、かかった経費といった簡単な数字からチェックしてみましょう。

　また、具体的な方法として、「見える化」を進めると良いでしょう。毎週や毎月の数字をグラフや表にまとめて見ることで、ビジネスの状況が一目で分かりやすくなります。また、便利なクラウド型の会計ソフトを使えば、自動的に数字を整理し分析することも可能です。こうしたツールを活用すれば、数字が苦手な人でも簡単に状況を把握し、次の行動を考えられるようになります。

　数字と向き合うことは最初は難しく感じるかもしれませんが、一度コツをつかめば、数字が持つ「明確さ」があなたを助けてくれるようになります。数字を避けずにしっかりと向き合えば、商売をもっと安定させ、成功させるための重要なヒントが見つかるでしょう。